犬の症例
口腔内メラノーマ
犬の口腔内悪性メラノーマは皮膚のそれとは異なりほとんどすべてが悪性でその挙動は局所浸潤性が強くさらに遠隔転移性も高い腫瘍です。
今回の症例は右側上顎の第4前臼歯、第1後臼歯の頬側側に腫瘤ができており、生検の結果悪性黒色腫(メラノーマ)と診断されました。
右側下顎リンパ節への転移が認められましたが、肺転移は認められませんでした。飼主さんと相談の上、放射線療法などは行わず、可能な限りQOL(生活の質)が保てるような温存療法で治療していくことになりました。
生検後約1カ月腫瘍の増大を認めたため、バイポーラにて可能な限り切除後、残存病巣にインドシアニングリーンを注入し半導体レーザー光を照射し蒸散を実施しました。処置後は食欲が出てきて良好なQOL(生活の質)が維持できました。
腫瘍組織の再度の増殖は避けられないでしょうが、できるだけいい状態で生活できるように治療していきたいと思います。
猫の症例
鼻のリンパ腫
13歳の日本猫(FIV(+))
主訴:1週間ほど前から鼻が腫れていて、、食欲が低下している。
鼻の左側が腫脹し、鼻腔が変形していることにより、閉塞気味になっているため努力性呼吸を呈していました。
患部の細胞診にてリンパ腫と診断。
化学療法(COP)を実施。
治療開始3週目で完全寛解に至りました。
エキゾチックアニマルの症例
ウサギの切歯の不正咬合
ウサギの切歯の不正咬合はネザーランド・ドワーフなどの小型品種でよく見られます。
先天性の下顎突出症(短頭症;上顎が短い)はダッチ系・ロップイヤー系に好発し、切歯の不正咬合の原因となります。
上顎と下顎の切歯が全く噛合わないとそれぞれ1カ月で1cmずつ位は伸長します。
当院では切歯の不正咬合は通常無麻酔でマイクロエンジンを使用して切断します。
ジャンガリアンハムスターの皮膚腫瘍
1才10カ月の雄のジャンガリアンハムスターにおいて体の腹側部にしこりがあるとのことで受診されました。
腫瘤は皮膚固着(+)、下部組織との固着(ー)
針生検による細胞診にて腫瘍細胞を認めたため、摘出手術を実施。
病理組織検査で異型線維腫と診断されました。
この腫瘍はジャンガリアンハムスターによく見られ、皮膚に存在する神経節細胞様細胞から形成されると考えられています。
基本的に良性腫瘍と考えられていますが、ごくまれに悪性タイプも発生します。
今回の腫瘍は悪性所見が乏しく、腫瘍の境界も明瞭で良性腫瘍と判断されました。